怒るに関連した俳句の例をまとめました。
怒るを含む俳句例
鰐怒る上には紅の花鬘/横光利一
若葉して海神怒る何事ぞ/正岡子規
栗笑んで不動の怒る深山かな/言水
黒雲の冬雲を見て牛怒る/萩原麦草
眠りつつ山相怒る妙義かな/轡田進
夕立や虎の尾怒る河の渦/幸田露伴
怒る泣く笑ふ神将年の暮/米澤治子
蠅はじき怒る心よ手束弓/服部嵐雪
蝿はぢき怒る心よ手束弓/服部嵐雪
落葉して老木怒る姿あり/正岡子規
荒鮭の全身の縞怒るなり/長谷川櫂
持てる翅忘れ蟷螂すぐ怒る/津田清子
笑う漁夫怒る海蛇ともに裸/西東三鬼
梨の芯吐けば砂丘の海怒る/森川暁水
兄に怒る鎌や芒を刈り倒し/清原枴童
冬帽を火口に奪られ髪怒る/山口誓子
匂いなき雨にとざされ海怒る/三谷昭
怒る栗笑ふ栗皆落ちにけり/正岡子規
鳥帰る師の死を怒るわが真上/源鬼彦
怒る渦泣く渦鳴門五月雨渦/橋本夢道
俳句例:21句目~
寒月に大いに怒る轍あり/秋元不死男
尿る子の怒る瞳をして豆の花/石寒太
隙間風十二神将みな怒る/阿波野青畝
怒ること己に多し荒き梅雨/関森勝夫
怒るとき生あざやかに白絣/鷹羽狩行
肩怒る菩薩の在はす練供養/原田しずえ
はせを泣き蘇鐵は怒る野分哉/正岡子規
蟷螂の怒るほかなき青全身/加倉井秋を
雷神の怒るにまかせ静かに居/小口白湖
三日はや新聞怒ること多し/岡部六弥太
世を怒る心花見に出でにけり/野村喜舟
唐辛子種抜かれても怒る赤/蓬田紀枝子
夜の壁に怒る拓やほととぎす/堀口星眠
夜の戸に風媚ぶや我に榾怒る/飯田蛇笏
怒るほかなき蟷螂の青全身/加倉井秋を
怒るより許す白菜八つ切りに/小高沙羅
獅子舞の心臓ふたつもて怒る/大石雄鬼
榛名笑ひ赤城泣き妙義怒る哉/正岡子規
海胆怒る漆黒の棘ざうと立ち/橋本鶏二
田の水を叩いて怒る水喧嘩/石井いさお
俳句例:41句目~
策無きに怒る雪山の中の妻/石橋辰之助
すべもなき三日月飢ゑし馬怒る/片山桃史
牛らにも怒る背があり草いきれ/足柄史子
晩景やわが佇つのみに蜘蛛怒る/飯島晴子
怒る事知つてあれども水温む/東洋城千句
怒る朝溝も氷つて歯のごとし/田川飛旅子
車窓擦過の坂の一つの焚火怒る/金子兜太
蚯蚓鳴く疲れて怒ることもなし/石田波郷
蜂がのむ水にさはれば蜂怒る/山口波津女
蟷螂のみどりみづみづしく怒る/山田弘子
湧く雲の影も湧くさま蟹怒る/中戸川朝人
年初にて閉ぢし一期へ怒る波/平井さち子
火中なる達磨どんどの火を怒る/岸風三樓
大文字まことに怒る人欲しき/八木三日女
パンジーの黄色が怒る雨の午後/笠間圭子
ふくろふの滝のこだまに出て怒る/松村蒼石
若き軍馬貨車に積まれて怒る反る/細谷源二
怒るやうにアメリカ楓の紅葉かな/飯野幸雄
怒るごと一途な染師萩枯るる/鍵和田ゆう子
怒ることできてしまひし二日かな/中村春逸
俳句例:61句目~
雄かまきり風にも怒る怒り痩せ/加藤知世子
青田の道に後じさる馬怒る波濤/田川飛旅子
怒る前の河豚の顔とはこんなもの/大木あまり
怒ることに追はれて夫に夏痩なし/加藤知世子
蝮の子頭くだかれ尾で怒る/西東三鬼「今日」
怒ることありて恚れり月まどか/竹下しづの女
酔ひ怒る加賀もゐたりし酢牡蠣かな/綾部仁喜
埃から埠頭吸い馬の眼馬の眼を怒る/赤尾兜子
サランラップのふんどし姿で翁は怒る/夏石番矢
鼻輪失せてもディオニッソスは怒る唾/八木三日女
死を悼むは死を怒るなり衣紋竹/三田きえ子「初黄」
春燈に妻の他に妻なく泣くも怒るも嘆くも妻/橋本夢道
荼毘を待つ風邪身の悲愁は怒るに似て/赤城さかえ句集