熱帯に関連した俳句の例をまとめました。
熱帯を含む俳句例
熱帯男嫌ひを通しけり/橋本白木
出航の銅鑼に闘ふ熱帯/松山足羽
受口の熱帯ゐて直進す/都筑智子
熱帯神の賜ひし彩に狎れ/西本一都
通訳のまあいを泳ぐ熱帯/二村典子
その日より日記空白熱帯/中村明子
熱帯飜り交すは愛語らし/楠本憲吉
熱帯見るや心を閃めかし/後藤夜半
熱帯まこと墨痕淋漓たり/西本一都
熱帯見て水深を感じをり/後藤夜半
灯を入れて縞目鮮烈熱帯/牧野寥々
煖炉過熱臓透け泳ぐ熱帯/内藤吐天
夕茜みごもり透きて熱帯/中村明子
熱帯翻り交すは愛語らし/楠本憲吉
春暁の青きひかりに闘覚む/瀧春一
熱帯縞濃く朝の雨あがる/椎橋清翠
寒月や眼を開けてゐし熱帯/林民子
寒生くる闘の雌雄憎からず/瀧春一
熱帯紺碧の海恋しからむ/福永鳴風
美醜とは人の言ふこと熱帯/嶋田一歩
俳句例:21句目~
わたくしが生死を握る天使/櫂未知子
人恋へば鰭をひらりと熱帯/中村純代
勝気なる熱帯なる彼女たち/後藤夜半
嘘吐けば高貴な熱帯の匂ひ/櫂未知子
天下泰平ひらべつたくて熱帯/松本翠
天使の夜の猪突を訝しむ/下村ひろし
天使の悍の静止や西東忌/秋元不死男
天使も母も秋天知らず病む/今瀬剛一
天使過ぎわが顔の残りけり/鈴木まゆ
夫といて藻のゆれの鬱熱帯/安井昌子
妻疲れをり天使の鰓づかひ/佐野鬼人
始末書を書く熱帯驕りをり/館岡沙緻
左右より来て胸合はす熱帯/朝倉和江
彩のかけら命のかけら熱帯/福田蓼汀
春の水醜の闘とひとは云へど/瀧春一
春宵や客より綺羅の熱帯/水原秋櫻子
死なせては飼ふ熱帯天の川/遠山陽子
熱帯かげりし水に眠りあふ/萩原麦草
熱帯ちさき扇を尾としたる/西本一都
熱帯ひとも横顔見せて待つ/岡田貞峰
俳句例:41句目~
熱帯人は己れにもどり去り/中村汀女
熱帯所帯臭さを捨てて見る/高澤良一
熱帯透きてめら~水草かな/星野立子
闘の彩に剥脱の夜を重ね/八木三日女
熱帯静かなるとき唇合はす/星野紗一
玻璃叩き睡りさまされ熱帯/中村汀女
真夜寄港闘積み込む艀あり/大橋敦子
熱帯沈むも浮くも硝子の中/加藤拝星子
水にゐて濡れてはをらず熱帯/高尾清子
熱帯石火のごとくとびちれる/山口青邨
天使は生命しづかに花圃の隅/井上美子
熱帯縞あきらかにひるがへり/館岡沙緻
天上の熱帯賣場でござゐます/筑紫磐井
熱帯色をとばして闘へり/細見しゆこう
サラリーマン飼ふ熱帯縞同じ/川村紫陽
熱帯みなしづかなり値たかく/石田波郷
熱帯ゆずらぬ色を帯びにけり/宇咲冬男
熱帯ゴムの掌置いて街をゆく/小原洋一
熱帯ひるがへるとき多面体/上田日差子
百合うつり雷とどろけり熱帯/石田波郷
俳句例:61句目~
しづかにもひれふる恋や熱帯/富安風生
金入れて熱帯槽違和おこる/篠田悌二郎
熱帯青きひかりを藻に点ず/水原秋櫻子
熱帯庭のくらがり野につゞく/石橋辰之助
熱帯おちよぼ口にして影もたず/西本一都
天使の光背負へる夜のしじま/下村ひろし
まさをなる雨が降るなり熱帯/藤木/竹志
なぜ死んだどうして死んだ熱帯/大野朱香
熱帯人を待つ目の置きどころ/黒坂紫陽子
熱帯冬みどりなる藻に住めり/水原秋櫻子
こひびとを待ちあぐむらし闘の辺/日野草城
熱帯薄き身吊り上げ吊り上げて/中村草田男
熱帯藻にみじろがず花火の夜/久保田万太郎
熱帯近寄る眼と合ふ呼吸と合ふ/小口よね子
天使もいさかひすなりさびしくて/水原秋櫻子