真水に関連した俳句の例をまとめました。
真水を含む俳句例
蜩の声の真水の底に坐す/林翔
寒くして汐水真水分ちなし/暮石
海中に真水の水脈や桜貝/森田博
朝曇鮑をとりに真水持ち/上村占
日の下に真水のくぼみ蓬山/桂信子
海近き湖の真水や蜆掻き/籾山柑子
噴水に真水のひかり海の町/大串章
箱枕夏は真水の如くなり/栗林千津
船内に真水たつぷり沖膾/太田寛郎
船洗ふ真水のしぶき鰆東風/中拓夫
新墾山五月の真水仰ぎ呑む/成田千空
炎天の真水掛け合ふ海女親子/井上雪
潮仏海女が真水を供へたり/渡邉珠子
三伏の真水湛へし洗禮井/下村ひろし
仏桑花島に四ツの真水井戸/斉藤美規
仮泊かな山は真水の濃山吹/黒川憲三
大寒や船に積み込む真水桶/深谷鬼一
甘茶仏真水で洗ひ御身浄む/余田厚子
真水の香母郷にみちて冬桜/白澤良子
鮑海女真水甘しと喉ならす/柴田豊子
俳句例:21句目~
鳥交る真水より濃き瞳持ち/櫂未知子
鳩も椿も海も真水も濡れてゐる/林桂
引きはじむ秋の出水へ真水打つ/神蔵器
捩り花真水の塩気ほどの白/鳥居おさむ
水仙の島にひとつの真水井戸/福田蓼汀
白南風や真水に洗ふ麦烏賊を/田中冬二
真水あり夏の菫を沈めたる/宇多喜代子
めんどりに真水が見ゆる祭前/菅原鬨也
秋の蝿一つ真水の上に死す/中村草田男
伏流に堪へず雪割る紺真水/平井さち子
佛にも真水を汲まん初しぐれ/秋篠光広
水着より真水滴る夜の三和土/大屋達治
蛍火を追ひて草の香真水の香/橋本榮治
南北忌真水流してをりにけり/鳴戸奈菜
行く秋の真水平らを尽しけり/若井新一
覗き込む真水の音の木の芽谿/高澤良一
野分あと真水を積みて出航す/中村明子
吹きかけし真水がひかり螢籠/嶋田麻紀
鯖寿司へ真水くぐらす竹の皮/松本善子
水中を真水のいそぐ合歓の花/宮坂静生
俳句例:41句目~
干潟に澄み溜る真水か潮水か/右城暮石
黄落期真水のごとく猫眠り/北原志満子
秋つばめ真水を積みて漁船出づ/本宮哲郎
冬濤をかぶるところに真水の井/京極杞陽
寒鯉のゆらぎて真水匂ひけり/東郷喜久子
舟へ運ぶ真水さざめく緋桃の季/熊谷愛子
島育ちプールの真水にも浮きて/品川鈴子
海苔粗朶の垣根の中の真水井戸/田中冬二
萬緑の真水であれば夜も匂ふ/鳥居おさむ
葡萄剪る真水の彩の空あれば/田中とし子
蓮根掘り終へし真水のありにけり/小島健
朝の日は真水のひかり樺の花/鷲谷七菜子
母へ垂る真水のごとし秋の蚊帳/坂巻純子
海女の墓真水をかけて洗ひけり/松添博子
還暦の海女の被れる真水かな/宇多喜代子
あぢさゐや真水の如き色つらね/高木晴子
せめぎあう真水や蝶の高く飛ぶ/大西健司
みづうみは真水の寒さ舟を出す/長谷川櫂
真水にて絞れば水着一とにぎり/新田祐久
鳥交る硝子にみたしゆく真水/夏井いつき
俳句例:61句目~
元朝や真水のごとき佛の間/長谷川せつ子
硯洗ふ蔵王真水をあふれしめ/小枝秀穂女
真水乏し胸毛吹かせて巨大な鵙/鈴木六林男
青山淑真水のやうな日がこぼれ/鷲谷七菜子
いくたびも真水をまたぐ田植どき/北村仁子
半島の真水ままははよいとまけ/小川双々子
行く秋の真水掛けやる海女の墓/久保千鶴子
日記買ふこころに真水溢れさせ/佐藤美恵子
黒髪は海女にもいのち真水浴ぶ/石井とし夫
真水乏しはるか幾千の陽あたる墓/鈴木六林男
たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり/河野裕子