剤に関連した俳句の例をまとめました。
剤を含む俳句例
文月や眠剤容るる旅鞄/根岸善雄
啓蟄や森の匂ひの芳香剤/橋本紅
抗癌剤効きゆく桜蒼白に/中尾杏子
蝶に憶う白き精神安定剤/池田澄子
今年竹天の配剤思ふべし/行方克巳
生身魂錠剤一粒掌より逃げ/堤高嶺
初冬の鞄につめる鎮痛剤/原田美芳
育毛剤秘かに試す秋の暮/川村甚七
夏草や俳壇に撒く除草剤/高澤良一
寝る前の錠剤一つ虎落笛/錦織畔燼
風邪の喉錠剤の角なほもあり/篠原
風邪薬匙へな~と調剤す/本田一杉
さみだるる尿道造影剤検査/高澤良一
錠剤の一つはピンク秋深む/矢村三生
造影剤かっと血管焼く暮春/高澤良一
鳴神の電気浴ぶごと造影剤/高澤良一
河童忌や安定剤の青い箱/三品百合子
出雲崎へは抗真菌剤携えて/沙羅冬笛
制癌剤白き玉なり天の川/北見さとる
眠剤の夢にも春の奈落あり/藤木倶子
俳句例:21句目~
夏に入る去年の殺虫剤二罐/石川桂郎
寒曉を聞きしに勝る利尿剤/高澤良一
山頂に少年かるい錠剤撒く/阿部完市
春愁ひ抗癌剤を飲むことも/塩田峯子
栄養剤飲んで薄暑の薬売り/山田一良
抗癌剤に黒き静脈身に沁めり/三浦勲
除草剤効きし地の銹夏の果/原田青児
入浴剤白くひろごる久女の忌/清野やす
強心剤生死うつつや春蚊鳴き/徳武和美
手紙添へ父の日に着く育毛剤/北原勝彦
春夜尿りて体外へ出す造影剤/高澤良一
春宵や食事のあとの消化剤/波多野爽波
桐やたら咲いて催眠剤効かぬ/池田充子
殺虫剤目をつけられし夏菊に/高澤良一
殺鼠剤と氷塊失せし石の上/宇多喜代子
火蛾の聲発汗剤は白かりし/廣江八重櫻
眠剤のいらぬ幸せ冬うらら/羽立みちこ
致死量といふ錠剤や四月馬鹿/保坂敏子
花あまた見し夜安定剤一顆/文挾夫佐恵
解熱剤赤の襦袢が吊ってあり/池田澄子
俳句例:41句目~
調剤のきらりと小匙水鳥見え/友岡子郷
走り梅雨安定剤をふやしをり/田中湖葉
錠剤と白湯ある卓も立夏かな/都筑智子
錠剤のみて極暑の中の人に伍す/山崎鏡
解熱剤効くを待ちつつ夏布団/千原草之
あの人の精神安定剤であり私/高澤晶子
クリスマス贈物ほど錠剤持ち/鈴木栄子
催眠剤効きくる時を焚火の香/内田美紗
錠剤はどれも原色春かなし/復本鬼ケ城
菜の花になりたいときの安定剤/窪田沙織
虫の夜のああ利尿剤利きにけり/高澤良一
ドリンク剤飲み皆勤の夏期講習/山口恵子
殺鼠剤効くやきかぬや近松忌/吉本伊智朗
梅雨寒の母と分け飲む栄養剤/玉村夜音女
百舌鳥鳴いて安定剤の匙加減/北見さとる
むらさき圧降下剤はあねもね/田村みどり
気休めの眠剤の効き梅雨の旅/山家なか子
錠剤を噛み砕き服む薔薇の前/相生垣瓜人
鎮痛剤ききし身さめず花ぐもり/朝倉和江
鎮痛剤呑んでさくらの下にゐる/柿本多映
俳句例:61句目~
石榴一粒ほどの増血剤を嚥む/正木ゆう子
青天に睡眠剤撒きサーベル投げ/阿部完市
河童忌の錠剤シートペきと折り/内田美紗
極月や洗剤だけを買ひに出づ/和田耕三郎
眠剤のあとしばらくは炉火のいろ/飯田龍太
制癌剤打たれをり雪の楡立てり/平井さち子
ビタミン剤あれこれ飲んで文化の日/後藤兼志
ビタミン剤眼に効き出して芦青し/中戸川朝人
ふたつぶの白き錠剤あかときにひとの闇へと落ちゆくをみる/江戸雪