瞠るに関連した俳句の例をまとめました。
瞠るを含む俳句例
寝袋に瞠きて聴く虎鶫/岡田貞峰
最澄の瞠目つづく冬の畦/上村占
瞠いて子の夢ゆたか蛙の夜/林翔
木菟や巻に對して瞠目す/森鴎外
水取や闇に瞠く鹿の群/大石悦子
梅に瞠く薄明の母の眸か/桂信子
鰤季の波の瞠く日本海/堀口星眠
甘藍の縦断面に瞠目す/相生垣瓜人
第九歌ふ誰も明眸瞠きて/高澤良一
桑の瘤四方へ瞠き冴返る/永方裕子
酔眼を瞠きみひらき枯葎/石川桂郎
黄水仙瞠きて咲く殉教碑/中山純子
森深く蝉八百の眼瞠きて/高澤良一
背教や向日葵夜も瞠けり/津田清子
向日葵の瞠る旱を彷徨す/野澤節子
焼鶫仰天の目を瞠りたる/橋本鶏二
聖堂や瞠然と夏銭こぼる/古舘曹人
心眼を瞠いてをり黴の中/鈴木鷹夫
瞠きて目つぶりて生く実紫/須藤妙子
遅ざくら一本にして瞠目す/井沢正江
俳句例:21句目~
瞠いて滝の冷気に立ち向ふ/池田泰子
子の瞠る父の逆立ち草若葉/篠田悦子
山女赫つと瞠きてゐて氷詰/佐藤干城
盲女来て野中の厠で瞠かん/安井浩司
瞠けぬなげき寒夜の藁の馬/鈴木鷹夫
石あれば石も瞠き露の中/金箱戈止夫
瞠きて何も見てゐぬ春の仁王/鈴木鷹夫
砂の庭海見るごとく野菊瞠る/宮津昭彦
禿山に両眼ありき夜も瞠き/沼尻巳津子
秋来ぬと瞠と倒るる障子かな/会津八一
暗記する瞳が瞠りをり白舟/加藤知世子
夕顔のみな満月にみ瞠けり/永峰久比古
闇に眼を瞠きゐたり蝿飛べり/細川加賀
落鮎の串打たるるに瞠らきぬ/角川照子
角切らる間も荒鹿の眼を瞠き/太田文萠
瞠きてひと霜浴びし捨案山子/鈴木鷹夫
瞠きみる夜の木枯の一団を/千代田葛彦
青田青し父帰るかと瞠るとき/津田清子
ためらはず瞠め春燈無慙にす/野澤節子
鷹死せり瞠目天にありしまま/鈴木貞雄
俳句例:41句目~
瞠目はふくろふのもの瞑目も/亀丸公俊
稲妻に目とじて神を瞠ざりけり/寺山修司
渡る雁きらきらと目を瞠りゐむ/加藤楸邨
炭負のよく見れば目を瞠りゐる/加藤楸邨
向日葵のまなひ瞠れる園生かな/山口誓子
花粉症のまなこ瞠きピカソ観る/田村一翠
瞠きて瞑りてしだれざくらかな/大石悦子
つぶら目の瞠れるごとき栗届く/嶋崎茂子
みどりごの瞠るへ御印文戴きぬ/東條素香
埓もなし春ゆふぐれに目を瞠き/柿本多映
闇汁を瞠りとほして達磨の眼/加藤知世子
降る雪に闇に瞠き喰ひ飽かぬ/石橋辰之助
寒すみれ地球がゆるぶねと瞠る/古沢太穂
碧揚羽翔けて欝居の眼を瞠る/篠田悌二郎
巣箱真白母に問はるるたび瞠る/友岡子郷
清水かければ石室不動目を瞠く/石原八束
黒き目を瞠りどほしに火蛾疲る/野澤節子
橋灯一連涼しや瞠ることなき日も/友岡子郷
かのひゞき瞠れば雪崩嶺を落つ/石橋辰之助
川波へ長男ぺりかんのように瞠る/阿部完市
俳句例:61句目~
瞠きて花野の天の澄むに堪へぬ/軽部烏帽子
凍る身のおとろへ支ふ眼を瞠る/石橋辰之助
うしろにはしおからとんぼ瞠り居り/阿部完市
眼を瞠るまでに寒さがゆるみけり/相生垣瓜人
エディプスにして氷人、ゆふべに瞠く/加藤郁乎
降りながらみづから亡ぶ雪のなか祖父の瞠し神をわが見ず/寺山修司