余命に関連した俳句の例をまとめました。
余命を含む俳句例
今生てふ余命を数へ星祭/吉田鴻司
羅に余命も透きて母の影/井上蒼月
大幅に余命を削る菊の前/相馬遷子
水仙の頷き合える余命かな/橋間石
桜見を約し余命を疑はず/山田光湖
先生の余命と勝負燕子花/高澤晶子
一病を余命に加え花の冷/近藤一鴻
水中花母へ余命の彩放つ/中山華泉
誰彼の余命や花の非常口/栗林千津
余命とや断じて朝寝貪らむ/石塚友二
鬼燈の透けて余命の昭和かな/石寒太
春もみぢ子を前にわが余命言ふ/林翔
男来て杉の余命が語られき/中村苑子
白梅の余白の余命我に在り/永田耕衣
衣更へて平均余命生くるべし/轡田進
今日ありと思ふ余命の冬桜/中村苑子
薄日とは余命にも似て枯芒/中村田人
霜柱余命を賭けし一誌冴ゆ/小林康治
余命いくばくかある夜短し/正岡子規
明月にむせび漂ふ余命かな/多田裕計
俳句例:21句目~
秋深む余命ひたすら浪費して/相馬遷子
春の服買ふや余命を意識して/相馬遷子
そくばくの余命を惜しみ寒灸/西島麦南
足枷の余命の際に葱が立つ/林田紀音夫
わが余生さらに余命へ年越さな/原柯城
冬銀河人の余命の照らさるる/澤井洋子
後の月虧けきて余命思ひけり/牧野春駒
花種を蒔くや余命に真向ひて/朝倉和江
余命とは暮春に似たり遠眼鏡/中村苑子
水虫の足と余命をあたたむる/古市蛇足
秋の日のひと日~を余命とす/金丸希骨
草籠めに蛍は余命燃やすなり/轡田幸子
風鈴や余命とあらば愉しまむ/鈴木真砂女
余命あり青葉の闇に懸かる橋/沼尻巳津子
余命なき母よしづかに冬の帆は/伊東宏晃
余命の金数へてなんぞ冷まじき/小林康治
余命もてころがる落葉追う落葉/櫛見充男
余命幾日夫とトランプする炬燵/永橋久子
屠蘇の杯重ね余命を惜しむかな/石川風女
うつすらと寒紅余命あかりかな/栗林千津
俳句例:41句目~
法師蝉母の余命のほぼ決まり/吉村ひさ志
暗算の余命しばらく雨やどり/林田紀音夫
未だ逢わざるわが鷹の余命かな/池田澄子
四日はや母の余命を告げらるる/田島蔦子
翔たしむる凍蝶もわが余命かな/中村苑子
西日中余命が猫を撫してをり/藤村多加夫
冷まじやなべて余命に制さるゝ/相馬遷子
野梅咲く父に余命のありにけり/谷中隆子
今日生きて余命を減らす花むくげ/鈴木舜子
桐の花余命告げられをりにけり/高木みつ子
梅雨深し余命は医書にあきらかに/相馬遷子
余命わづか取り戻したる漬菜かな/相馬遷子
これからぞとも余命とも露煌めく/篠田悌二郎
余花と言ひ余命と言ふもつかの間ぞ/福田蓼汀
はんなりと余命告げらる鳥帰る/須々木じゆん
われとても余命いくばく出でゆく蛾/篠田悌二郎
汗ばみて余命を量りゐたらずや/石田波郷「惜命」
竹植ゑて己が余命を測りをり/根本純高「春嶺同人句集」
余命ほど濃く淡くなりわが影は雲の狭間の月に従う/柴谷正博