俥に関連した俳句の例をまとめました。
俥を含む俳句例
隠栖の門に俥や梅日和/野村泊月
榕樹の闇に並びし辻俥/高濱年尾
医者らしき俥待ちけり門柳/白古
秋風や旗亭つづきの俥宿/石川桂郎
霧の石俥灯借りて徘徊す/宮武寒々
秋口や戻り俥の幌の揺れ/石川桂郎
温泉の山へ俥つゞきぬ春の雪/篠原
夜霧の俥眠る子の髪冷ゆ/喜谷六花
月見草帰り俥が拾ひし客/鈴木栄子
乳母俥躓けば動く秋の夕/久米正雄
落柿舎の門に俥や秋日和/野村泊月
藤茶屋に異人の俥二人挽/松藤夏山
隣家にくすしの俥松の内/亀井糸游
雁高し俥つらねて橋の上/野村泊月
元日の俥のなかに酔ふてゐし/実花
初雪や俥とめある金閣寺/野村泊月
秋風や医者の俥を入るゝ門/野村喜舟
旅衣涼しく俥飛ばしけり/大場白水郎
春雨や俥の幌の窓げしき/楠目橙黄子
乾鮭をさげて俥に乗りに鳧/内田百間
俳句例:21句目~
供待に医者の俥が種痘の日/石川桂郎
水暗し花火やむ夜の幌俥/芥川龍之介
俥屋と月の出を待つ眼鏡橋/北園逸子
自動車の陰の俥や春の雨/大場白水郎
茸山の裾に待ち居し俥かな/野村泊月
夜を春に俥乗せたる渡舟かな/原月舟
春の泥誰かわからぬ幌俥/真下喜太郎
辻待の俥置いたる雪間かな/尾崎紅葉
俥屋の使ひはしりや冬の雨/星野立子
外套を掛けし俥の初日かな/増田龍雨
枯蘆に酒のさめゆく俥かな/清原枴童
雪の戸に迎への俥灯して/近藤いぬゐ
森ぬけて俥は小函月の道/赤松けい子
春の宵船のほとりの待ち俥/五十嵐播水
春潮を渡り来て乗る俥かな/島村元句集
馬酔木野を遥かに通る俥かな/野村泊月
桑の間を馳ける俥や鮎の里/楠目橙黄子
七夕や俥も古りしゆふながめ/増田龍雨
久方の墓参の俥列らねけり/楠目橙黄子
夕蝉のふるさとに着く俥かな/原田濱人
俳句例:41句目~
膳所寒しわが降り立てば俥あり/星野立子
夏の夜の街の灯くゞる俥かな/大場白水郎
俥とめて秋の海見るはざまかな/野村泊月
遺羽子のめをとをわかつ俥かな/会津八一
ほとゝぎす根岸の里の俥宿/久保田万太郎
白南風の耳ひらひらと俥屋さん/攝津幸彦
ながき日や俥とめさす種物屋/軽部烏帽子
いつもゐる俥屋みえず朝曇/久保田万太郎
酔ふ人を花の俥へ総がかり/阿部みどり女
朝顔をみていまかへる俥かな/久保田万太郎
茸山へ三味を届くる俥夫なれや/五十嵐播水
避暑の戸へ着く俥あり待ちしさま/尾崎迷堂
岸釣に小さんの俥とほりけり/久保田万太郎
波止場の光に老い深くなる俥夫と幌/伊丹公子
雀の声の昼寝どきの田舎へ俥で来る/大橋裸木
あとからあとゝ俥下りるや河豚の宿/大場白水郎
俥より下りてかじかむ手なりけり/久保田万太郎
彼の女は俥にて去る鳰は浮いて流れる/中塚一碧樓