この世に関連した俳句の例をまとめました。
この世を含む俳句例
病みて見るこの世美し露涼し/遷子
蔭と影生むこの世とて半夏生/丸山仁
此の世をばわが世と鳶や秋麗ら/林翔
元日の往診この世去る人に/堀口星眠
振り返るこの世短し初紅葉/水原春郎
墓眠るこの世は勤労感謝の日/江ほむら
この世ともつかず雁ちらばりて/斎藤玄
この世また闇もて閉づる夏怒濤/桂信子
立春やひと生くる故この世あり/桂信子
糸瓜やや曲り此の世は面白く/下村非文
この世から紙が消えたり春の夢/楠正脩
万緑のあの世この世を風来坊/大口元通
この世ではこの声をして虎鶫/矢島渚男
青簾あの世この世もいま灯し/村越化石
鳥渡る友垣ありて此の世よし/村越化石
嚏して鼻かんで父亡き此の世/藤田湘子
曼珠沙華この世あの世の橋の数/栗林千津
この世から三尺浮ける牡丹かな/小林貴子
この世では声惜しむなと時鳥/伊丹三樹彦
曼珠沙華この世かの世の橋の数/栗林千津
俳句例:21句目~
この世から少し留守して梅を見に/穴井太
この世へと吹き戻されて濤の花/坂巻純子
この世また夢の水洟すすりけり/細川加賀
仏手柑ごろんと転げこの世かな/鈴木公二
秋の川この世流るる響きもつ/長谷川秋子
放下踊この世かなしと高跳ぶも/綾部仁喜
日盛のこの世を過ぎて蝶消えし/長谷川櫂
虹太くこの世さつさと見限るか/小出秋光
春落葉利休この世を去りし日か/飯田龍太
この世よりかの世に詳し栗の花/菊地乙猪子
曼珠沙華此の世は明るすぎますか/川井玉枝
傍若無人此の世我が世と蝉時雨/滝本魚顔女
この世この生あるかぎり霜の屋根/倉橋羊村
此の世より流す形代混み合へり/榎田きよ子
深山石楠花この世かの世の遠い空/岸秋渓子
猪肉の味噌煮この世をぬくもらむ/細見綾子
紅梅のこの世あの世に満つごとく/伊丹公子
蛍飛びこの世あの世のゆきもどり/木下星城
この世より叩き出されしごと咳けり/毛塚静枝
この世撃つ雷火も呆れ果てて去る/中戸川朝人
俳句例:41句目~
ほの暗きこの世うかがひ水草生ふ/片山由美子
柚子湯出てこの世ほのぼの妻子あり/新明紫明
春の日やあの世この世と馬車を駆る/中村苑子
くつわ虫/この世濁点増すばかり/平岡たかし
この世あの世つないで切れて流れ星/堀切千代
この世ともあの世ともなく寒寝ざめ/米田法子
虞美人草/この世を泣けとも笑えとも/上藤京子
梅日和この世かの世のさざめき充ち/伊丹三樹彦
花茨この世は遠きランプかな/鳴戸奈菜「イヴ」
あの世この世つりあふ春の時雨かな/恩田侑布子
この世あの世を行き交ふ白さ梅雨の蝶/鍵和田ゆう子
この世よりおもしろきかな箱眼鏡/藤本安騎生「深吉野」
走馬燈あの世この世となくまはる/藤岡筑邨「海鼠の夢」