牛の目に関連した俳句の例をまとめました。
牛の目を含む俳句例
晩夏光牛の瞳に収まりぬ/西谷孝
笞受く牛目使ひや春の泥/野村喜舟
花の世を伺う金の眼牛蛙/伊丹三樹彦
黒牛の黒瞳が聴いて法師蝉/香西照雄
目貼剥ぐ小農牛の眼に高し/古舘曹人
受胎して眸やさしき牛冷やす/西村琢
緑蔭の人の目濁り牛角力/殿村莵絲子
牛の眼の春の落日よりも大き/瀧春一
天牛の小草に眼濡れて醒む/深谷雄大
炉話の百貫目とは牛のこと/後藤綾子
牛の眼が人を疑ふ露の中/福田甲子雄
黒牛の眸と枯野の眼われに向く/原裕
屠牛場の屋根なき門や夏木立/夏目漱石
クローバの風に眼細む産後牛/加藤春彦
仔牛の目涼しく水を飲みをはる/大串章
牛の眼を金の虻すぎ五月来ぬ/岸風三樓
祭笠着て牛の瞳のもの思ふ/殿村莵絲子
牛の眼に笊を溢るる水澄めり/浜崎敬治
白南風の牛はさびしき眼せる/加藤楸邨
牛の眼に雲燃えをはる秋の暮/藤田湘子
俳句例:21句目~
枯野牛雲とびとびの伏目がち/古舘曹人
牛の瞳の中へ入りゆき注連飾る/佐野操
草に寝て秋空の紺眼に溶かす/道部臥牛
菜殻火の映れる牛の慈眼かな/川端茅舎
闘牛の互角の牛のかなしき目/沢木欣一
飽食の牛のうす眼に梅雨の蝶/伊藤京子
飾られて初市に出る牛の瞳よ/千原叡子
耕牛の瞳が何ものも見て居らず/右城暮石
牛よりも貧しき目もて秋惜む/百合山羽公
牛売りし夜の眼くもらす根深汁/清水一梧
竹林の牛の眼よ余震しきりふる/北原白秋
友が持つ牛の眼五十と薯の花/小檜山繁子
喜雨の中戻りし牛のやさしき目/加藤康人
日脚伸ぶ牛飼いの目は牛に似て/三須民恵
曲り家の牛の目やさし辛夷咲く/菊地万里
牛の眼に広がりてゐる春の野辺/道部臥牛
牛の眼のかくるゝばかり懸葵/栗津松彩子
雪の牛難民の眼をしてゐたり/大木あまり
綿虫やむらさき澄める仔牛の眼/水原秋桜子
元日の牛の瞳ぬれて啼きにけり/つじ加代子
俳句例:41句目~
仔牛の目かやつり草にかこまれて/藤田湘子
春の雲貨車に積まれし牛の瞳に/成瀬桜桃子
ちぎれ凧吹きとび牛の目まばたく/加藤楸邨
受胎してじっとして夜の牛の眼玉/山田緑光
鳴く牛の寄り目埋める阿波の麦/宇多喜代子
牛の目はいまも寄り目に秋の風/宇多喜代子
黒牛の瞳を消すまつ毛冬ぬくし/赤松けい子
甘藷掘りを牛はかなしき瞳もて待つ/才記翔子
牛の眼なつかしく堤の夕の行きずり/尾崎放哉
眼のまはりに虻つけて牛こちら向く/田川飛旅子
耕牛おそろし打たれて上眼づかいする/北原志満子
妹と母うち解けぬ故郷の牛の大きい静かな目/橋本夢道
近づけば俺まで憎んでふるさとのうちの牛の目/橋本夢道
吠えて牛は巨き目をして母に叱られて故郷の痩せ/橋本夢道