うつし身に関連した俳句の例をまとめました。
うつし身を含む俳句例
現身の寒極りし笑ひ声/岡本眸
墓過ぎて葱畑の青現身に/細見綾子
現身の春や線香千本立ち/柿本多映
現身の祷れば秋の翳聚る/内藤吐天
現身の黒髪にほふ雛の前/西島麦南
現し身の掌赤く戻る恐山/高澤良一
現し身の寒極まりし笑ひ声/岡本眸
人頭呵々大笑百現身の陰門/田中信克
寒釣の立ちあがる時現身に/篠田悦子
現身を真つ白にする蜃気楼/下山光子
形代にうつす現身息をかけ/福田蓼汀
現し身の今がいとほし踊唄/小野博子
蚊柱にわれの現身塔となれ/下村槐太
遠雷に現身ほそる隠し部屋/寺井谷子
現身のごと寒紅のひかれある/天谷敦
現身の何も残らず昼寝覚め/中村汀女
御来迎消え現身に戻りけり/毛笠静風
凍蝶も現し身に添ふ十二月/中村苑子
現身をからくも支へ秋彼岸/福田蓼汀
うつし身の寒極まりし笑ひ声/岡本眸
俳句例:21句目~
寒釣りの立ちあがる時現身に/篠田悦子
現し身の風となりゆく芒原/山崎千枝子
薪能見るうつし身は闇ごめに/黒川翠雨
被爆像仰ぎ現し身灼かせをり/中島斌男
現身へほろりと溶ける沈丁花/大西泰世
現身をはなれし声の霧じめり/百瀬美津
うつし身に竹の皮脱ぐ音ひびく/森重昭
一隅にうつし身蒼く氷面鏡/小池万里子
現し身の蒼く抜け来て夏薄/石田阿畏子
寒の水のみてうつし身二分けに/皆吉爽雨
死は今も現し身に添ふ原爆忌/下村ひろし
泳ぎ出づ現し身のもの月に脱ぎ/中島斌男
現し身の修羅をつつめる花衣/山上樹実雄
現し身の寒の茂吉は老ゆらしも/清水基吉
現し身に害ある冬の至りけり/相生垣瓜人
現し身をつつみて寒さ美しき/長谷川素逝
現し身を月光をもて包みけり/藤原かかし
うつし身に白きもの着る虹のあと/岩月通子
現身を離れゆくこゑ柚子の照り/鍵和田釉子
現身をもて冬至湯を溢れしむ/松岡ひでたか
俳句例:41句目~
現身をふきし湯にごる春の雪/野見山ひふみ
うつし身や坐して聖地の草いきれ/宇咲冬男
踊りゐてうつし身の顔失せゆきぬ/手塚美佐
気球なり、あゝ現身のゆれんとす/富澤赤黄男
燃ゆる現身花ひまはりに隠したし/柴田白葉女
うつし身に石のむかしの冷えが来る/佐野良太
大寒の日へうつし身をかくすなし/長谷川素逝
火祭の焔を浴ぶ喜寿のわが現し身/町田しげき
うつし身の花あるうちの遊びかな/櫛原希伊子
うつし身の逢ふ日なからむ賀状書く/渡辺千枝子
うつし身をはるかにすなり足袋脱いで/田部谷紫
冬河へ突き出し寒き一枚の耳にうつし身すがり眠れる/谷井美恵子
現身にひびかぬ風のわたる時ここの公孫樹の黄なるかがやき/河野愛子