存えるに関連した俳句の例をまとめました。
存えるを含む俳句例
拾ひたる命存へ夕涼み/長谷川櫂
存へて浮世よろしも酔芙蓉/森澄雄
ながらへて野分に渡る胡蝶哉/鹿ト
存へて長き戦後や鳥帰る/河波青丘
存へて一槍二旗の初茶摘/羽部洞然
冬草となりて酸葉ながらへし/耳動子
存へて爪切つてをり夜の秋/小出秋光
仮の世に存へ父の墓洗ふ/町田しげき
存へば杖が先立つ十三夜/西川みさを
種芋に灰をつけつけ存へる/伊藤久生
草亀よ大儀がらずに存へし/竹本健司
存へての新二千年田作食ぶ/小野希北
ながらへて春の椎茸薄味に/角川照子
存へて河豚に中りし話かな/長谷川櫂
この星に生きて存へ月祀る/鈴木ひさ代
存へし地こそまほろば餅の花/成田千空
存へていま一発の花火かな/市あきら子
存へてはにかみの紅山ざくら/大井戸辿
存へてかつての菊の友とかな/村越化石
蝦蟇よわれ混沌として存へん/佐藤鬼房
俳句例:21句目~
ながらへて縁切寺に榾を焚く/舐上白峰
ながらへて見てきし地獄鬼薊/石橋/哲
存へて華景に秋意あたたむる/有富光英
ながらへるわたしの褒美桜餅/橋本ぬい
波郷より椿に生をながらへし/榎本好宏
ながらへて思ひ出ばかり小向日葵/森澄雄
ながらへて八十になりぬ網代守/正岡子規
鷹行けり妻よともども存へねば/大野林火
ながらへて恥ある目貼はがしけり/龍岡晋
ながらへて蚊帳吊草を吊り遊ぶ/和田祥子
ながらへて見る秋空の鮮しき/能村登四郎
ながらへて世紀はじめの薺打つ/松井輝子
夜々の星檸檬をしぼりながらへて/三谷昭
山芋も仲間この地にながらへり/村越化石
老女舞生きながらへしさま寒く/矢島渚男
ながらへば紙子を貰ふすまひかな/黒柳召波
ながらへてながらへて踏む忘れ霜/水野柿葉
冬紅葉照りながらへてさながらに/日野草城
青梅に生きながらへてありしかな/寺田京子
豆飯をともに食みともに存へむ/加倉井秋を
俳句例:41句目~
うとましや世にながらへて冬の蠅/正岡子規
ながらへて野分にあへる胡蝶かな/五車反古
ながらへて梟の知恵借りにゆく/久保田豊秋
ながらへて年の用意の母悲し/スコット沼蘋女
しゆこう君猪食ひいのち存へよ/細見しゆこう
大服茶やひとのなさけにながらへて/日野草城
ながらへてわが世は楽し桜咲く/スコット沼蘋女
こころにもあらでながらへ歌留多読む/上田五千石
翌しらぬ身をながらへ居れば薔薇が散る/正岡子規
存へてさまざまざくらまみえけり/犬飼久子/『寧日』
ながらへて悔しきいのち西郷と月照のごとく我が死なざりき/岡野弘彦
終戦のち一年を過ぎ世をおそる生きながらへて死をもおそるる/斎藤茂吉