黙すに関連した俳句の例をまとめました。
黙すを含む俳句例
兜虫黙すは力蓄ふか/橋本住夫
少林山全山灯し星黙す/田中英雄
冬近き寺苑静寂人黙す/高木晴子
藁塚を通行人として黙す/永田耕衣
春の霜幼子黙す別れかな/相馬遷子
牡蠣食つて漫才夫婦相黙す/安住敦
黙すれば雨通りゆく蓬餅/萩沢克子
久々に会えば黙する雪囲い/吉田功
福島駅冬梨のごと人黙す/巌谷小波
冬銀河激せば黙すわが性よ/妹尾健
岩山に月消え仏法僧黙す/坂井多嘉
霜天に万象黙す日の出前/相馬遷子
かみ合はぬ話に黙す隙間風/加藤武夫
罫書工黙す鐵板に深冬来し/内藤吐天
君が代の朝の暑さに緘黙す/池田澄子
雪藉きて狐ら黙す寂しさは/堀口星眠
村黙す二日続きの雹害に/吉村ひさ志
九官鳥黙すうしろの森に月/斉藤夏風
稲雀さわぎ都府楼址石黙す/成瀬桜桃子
笹鳴の鳴く間黙す間時が充つ/加藤楸邨
俳句例:21句目～
オリオンは男の星座黙すのみ/大西泰世
雨蛙石となつたる墓は黙す/水原秋櫻子
初硯たのしきときは黙すなり/加藤楸邨
熱砂降る飼はれて黙す亀の上/小池文子
夾竹桃語りつくして黙すのみ/小坂誠子
防風とり怒濤の前にみな黙す/古舘曹人
小説のヒーローわれや夏黙す/藤森成吉
樹も石も勁きは黙す大やんま/橋本榮治
日当りて黙する山の墓を見る/飯田蛇笏
黙す日は想ひ湧く日よ寒雀/宍戸富美子
霍乱のしづもる背中みて黙す/平瀬直之
棒杭のごと百姓黙す露のミサ/宮坂静生
汗の教師黙すをもつて怒りとす/藤岡筑邨
瓦斯煖炉黙せばひとのうち黙す/加藤楸邨
漁り火をななつ数えて父黙す/山崎冨美子
茶摘女のやがて黙すは競ふなり/白岩三郎
窓に枯野神説かれゐてひた黙す/友岡子郷
話しかけ来る木黙す木蝦夷鼬/渡辺みや子
誰も富士詠まんと黙す初句会/福田甲子雄
稲妻のはげしさ夫とゐて黙す/山口波津女
俳句例:41句目～
ほとゝぎす若き牧夫と湯に黙す/相馬遷子
初鴨の大羽博ちにも比良黙す/阿波野青畝
鯊釣人の毛膝や海もただ黙す/中村草田男
梟に似て黙す一家晝を在り/安斎櫻カイ子
家にては黙す返り花見しことも/加倉井秋を
人は黙す冬となりゆく野のさやぎ/林原耒井
燃えあがる送り火見つむただ黙す/安間敏子
稲妻のつづけさまなりわれ黙す/山口波津女
秋惜しみ黙すこころの触れあへり/石原舟月
しだいに黙す隠元豆を茄でいし妻/藤野/武
目刺買ふをみながむれのわれ黙す/宍戸富美子
布教部委員会の吾が黙す黄帷子よれたり/喜谷六花
黒姫の雪にあかあか沈む日は谷こえて黙すわが父に射す/田井安曇
