楽器(ケース)に関連した俳句の例をまとめました。
楽器(ケース)を含む俳句例
稲光楽器屋鉄の扉閉づ/岩永草渓
わが楽器一鼓一琴鳥雲に/後藤綾子
利休忌のけさ網棚の楽器箱/中田剛
大家の一間に春の楽器哉/正岡子規
大船の一間に春の楽器哉/正岡子規
天鵞や吾が唇を欲る楽器/阿部娘子
小さな楽器の熱風が来る/五島瑛巳
枯野ゆく鳴りを鎮めし楽器箱/静塔
浅春や音一つなき楽器店/土生重次
男肥えて何春愁ぞ楽器弾く/清一郎
管楽器絃楽器眠り朧かな/松山足羽
躰より大きな楽器夏来る/恒藤滋生
降る雪に楽器沈黙楽器店/大橋敦子
青芒銃剣で守る楽器倉庫/沢木欣一
かたまつて楽器映れり冬鏡/木下夕爾
楽器屋を叩き潰して寒に入る/仁平勝
冬麗を流してをりぬ楽器居/鈴木鷹夫
凍港や楽器売場のごと光り/櫂未知子
口笛も楽器のひとつ春の風/望月郁代
啓蟄の楽器屋の前通りけり/高木良多
俳句例:21句目~
楽器函ほど早春の水車小屋/鷹羽狩行
月白の楽器の坂と思ふべし/山西雅子
鳥雲に子と並び入る楽器店/堀口星眠
閉ぢてなほ優し月下の楽器店/大串章
月触るる一瞬鶴となる楽器/石母田星人
もろもろの楽器音無く冬籠る/正岡子規
地下鉄は楽器みどりの席長く/和田悟朗
夏山に遇ひし乙女ら楽器負ふ/西田浩洋
大寒や楽器のごときあばら骨/仙田洋子
楽器店菊咲き楽器ひやゝかに/片山桃史
兵送る楽器寒潮にうちたゝかれ/岸風三楼
白鳥は天より降りてきし楽器/鳥居真里子
曳かれくる鯨笑つて楽器となる/三橋敏雄
枯山へひとりがひとつ楽器持ち/吉田汀史
避寒して楽器は誰が触るるとも/山本洋子
蜥蜴出づべろんべろんと絃楽器/三橋鷹女
行秋の楽器庫青く塗られけり/楠目橙黄子
楽器店木枯にもう蹤けられず/和田耕三郎
はたきなどぱたぱた春の楽器店/高澤良一
浮塵子とぶ楽器をみがく青年に/皆川盤水
俳句例:41句目~
青嵐森は楽器として鳴れり/仁平よしあき
満開の森がひからす楽器の胴/植原白柊子
楽器になる板は幸福花は過ぎつ/田川飛旅子
氷柱もて楽器ケースを敲きつつ/波多野爽波
春宵や楽器それぞれの音を持てる/下村梅子
楽器抱くように編物雪嶺ふくらめ/寺田京子
菊すめり楽器売りたるレヂスタア/片山桃史
楽器提げバス待つバレンタインの日/中川石野
長き夜の楽器かたまりゐて鳴らず/伊丹三樹彦
翳るプール絃うばわれし楽器に似て/大井雅人
落葉となる髪アポロンのまぶしい楽器/八木三日女
月の光を気管支に溜めねむりゐるただやはらかな楽器のやうに/永井陽子