俳句例:201句目~
八月の炉棚地球儀きびしくあり/長谷川かな女
こんな時間に八月の潮ひいてゆく/宇多喜代子
八月暁紅しじみ殻落つむしろに覚め/古沢太穂
子等とまたながき八月きりぎりす/百合山羽公
八月六日のテレビのリモコン送信機/池田澄子
八月十五日海老ふかぶかと腰をまげ/大木あまり
「ミセス」八月号風生先生の猫を載す/鈴木栄子
八月一日反戦デモに押しかける兄弟輝しい顔だ/橋本夢道
戦ひを終生にくみてをりし父八月十五日早朝に死す/外塚喬
姿なき客人ふえゆく八月は死の量にまで水位上がれり/光栄堯夫
戦争を知らぬ生徒と黙祷す八月十五日正午に立ちて/市村八州彦
八月の雑踏に来てわが耳へもっとも近き死者を呼び出す/田島邦彦
塩ふける梅干を炎天の簀に曝らし八月六日原爆記念日の昼/太田青丘
意のままにならない汗をしたたらせ鳴かない鳥が鳴く八月は/白瀧まゆみ
ダンボの耳ほしがるいもうとみづいろのみみそよぎだす八月の朝/大谷和子