俳句例:101句目~
青春は馬鹿馬鹿しくて四月かな/櫂未知子
香具師の手妻の電光石火四月盡/塚本邦雄
パン焼いてゐてカレンダー四月にす/岡本眸
恒友忌虚子忌の四月来りけり/阿部みどり女
夢に浮く身風呂にしずむ身四月尽/江里昭彦
矢を放つ四月の雨のただなかに/宇多喜代子
四月尽ふり向かざるに樹が匂ふ/神尾久美子
四月五日永遠に丸ビル閉さるる/稲畑廣太郎
アルバムに泡とぢこめて四月来る/大石雄鬼
ポスト開函四月の雪は何の意ぞ/磯貝碧蹄館
四月には魚も愚かになると云ふ/相生垣瓜人
草に跼み四月八日の蟻を見る/阿部みどり女
喜捨もせしズックを脱げり四月尽/山口風樹
四月一日触れたる水の逝きにけり/角川春樹
中空にバケツを伏せて死ぬ四月/津沢マサ子
四月尽易きにながれゐたりしか/恩賀とみ子
病みがちの足袋を離せず四月尽/猪俣千代子
嬰ら殖ゆ四月垂直に空滴りつゝ/磯貝碧蹄館
かの四月一日の木と寝たるかな/宇多喜代子
ありそうな話やつぱりある四月/宇多喜代子
俳句例:121句目~
真新らしき書類四月の荒地よぎる/稲岡巳一郎
老技師われ四月の汗を掌もて拭く/米沢吾亦紅
メモしつゝ早や四月よとひとりごと/星野立子
雪國に寒のもどりと言ふ四月/長谷川/より子
パンと子の顔均等に射す四月の陽/磯貝碧蹄館
四月馬腹襁褓干し並めぬ干し並めぬ/清水基吉
女囚衣波色干されさわぎて四月くる/寺田京子
あまき音のチェロが壁越し四月尽/秋元不死男
譽められき四月初一を待たずして/相生垣瓜人
四月一日とまり木といふさびしき木/今井杏太郎
鵜の尾岬四月の海霧の押しのぼる/阿部みどり女
澄み勝ちにタラは葉となり四月徂く/飛鳥田れい無公
かもめ田へつく越後の四月たのしまむ/飛鳥田れい無公
114㎜x56mこれは四月のトイレットペーパです/坪内稔典
木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな/前田夕暮