俳句例:101句目~
二月や物見車をつくろはん/正岡子規
辻ごとに春の鹿佇つ二月堂/黒崎治夫
二月三月赤星へ歩く男かな/坪内稔典
雲漠々二月風物紅に乏し/島村元句集
群れ上る人や日永の二月堂/正岡子規
二月晴青や紅なる青木の実/永井龍男
二月来る郵便受の隙間より/辻田克巳
球遠く蹴らる二月の懺悔台/中島斌雄
亡き夫を僧に惜しまれ梅二月/会田良
時雨見て時雨宿りの二月堂/皿井旭川
旃檀のほろほろ落る二月哉/正岡子規
旅は二月の満月森に泛びけり/有働亨
種の事に暦を見れば二月閏/大谷句佛
亡き母を褒めて二月の薬売り/林民子
旅人の八重山こゆる二月哉/正岡子規
二月尽利休の心温ねけり/阿波野青畝
ちらちらと空を梅ちり二月尽/原石鼎
二月堂昏れ綿虫か雪片か/長谷川史郊
二月堂出で春月に影もらふ/吉原文音
かん性のひとり働き二月尽/鈴木榮子
俳句例:121句目~
かますにふるる二月の納屋/喜谷六花
二月堂僧裸火を持ちつゞけ/萩原麦草
畳屋の日向を占めて二月かな/神蔵器
二月堂余寒の風の吹き通る/浅井静子
二月堂三月堂も馬酔木咲く/今川凍光
気色ばむ二月の空となりにけり/篠原
雑誌はや二月号なる蔵開き/石塚友二
内房の障子煤けし二月かな/原田青児
火の後ろふいに二月の蓮畑/永末恵子
絵暦の二月きさらぎ勧進帳/横山房子
印肉の油かわきし二月かな/正岡子規
石山の石も騒がぬ二月かな/田丸三樽
水ひかる二月真鴨は月の鳥/石原舟月
暖流のもたらす風の二月果つ/有働亨
曲ろくに澄みて二月の雑木山/向井秀
朧夜の鹿立ちあがる二月堂/小林洋子
お水取前のしずけさ二月堂/小田ひろ
命あるものの呟く二月かな/滝川名末
鶏の二月礼者に蹤き来たり/小林洸人
野佛に石置く二月礼者とて/中村祐子
俳句例:141句目~
水楢の瑞枝紅さす二月かな/奥田杏牛
水盤に麦の穂高き二月かな/富安風生
鳶の乗る空気重たき二月尽/正木浩一
霰餅炒る炎の強き二月尽/金久美智子
月赭く劫火の妻が泣く二月/猿山木魂
土入れて土休ませる藪二月/鷲尾敏子
直言は竹の切り口二月来る/小澤克己
雪原の靄に日が溶け二月盡/相馬遷子
墓二月人語白羽の矢のやうに/乾燕子
門燈は遅し二月の松蒼く/佐野青陽人
墓掘の膚土くさき二月かな/西島麦南
白描の二月の枝を鋭く引く/高澤良一
肩の荷を下ろす捺印二月尽/小田ひろ
荒波をかすめ来し風二月尽/印南頼子
老友の睦むあはれや二月尽/福田蓼汀
野仏の胸当て寒き二月かな/上田俊二
虚子館へ二月礼者の如く旅/辻口静夫
焼芋のさかり過たる二月哉/正岡子規
夢の淵歩いてゐたる二月かな/桂信子
大仏の柱のゆるむ二月かな/大屋達治
俳句例:161句目~
ぼろぼろの朴の落葉や森二月/阿部信
大正昭和二月の雪は深かりし/桂信子
杭打ちて二月の蚯蚓驚かす/高澤良一
二月礼者越後の雪の深さ言ふ/出岡実
大砲を海へうちこむ二月哉/正岡子規
白菜を切りてぞ頒つ二月尽/林原耒井
すれ違う二月礼者の魚くさき/澁谷道
泉より石輝ける二月かな/大岳水一路
よき連歌二月のなげ松湊舟/井原西鶴
鶴の群けぶる二月の水衰ヘ/星野昌彦
鴨減りて水のさびしき二月かな/樗堂
奥津城に犬を葬る二月かな/芝不器男
篳篥の舌なほからぶ二月哉/中川四明
瀬頭に息あはせをり二月尽/佐藤鬼房
家引て残れる庭の二月かな/増田龍雨
栴檀のほろ~落る二月かな/正岡子規
白妙の壇花満つる二月かな/林原耒井
篁に僧ゐて二月あたたかし/宮坂静生
寺山の桑に雪降る二月かな/石原舟月
将門の忌なり二月の土乾き/加藤幸恵
俳句例:181句目~
竹林の月の奥より二月来る/飯田龍太
少年がもたれ二月の桜の木/坪内稔典
鳶が餌を落す二月の雑木山/児玉輝代
横町を竹馬が来て二月来て/松山足羽
鳴雪忌二月一度も雪降らず/堀田春子
山にゐて二月の山の影をみる/小澤實
折鶴の紙にもどらぬ二月尽/友松照子
一村の梅咲きこぞる二月哉/正岡子規
托鉢も日向を選るや二月尽/角川春樹
真直なる幹に雨沁む二月尽/福永耕二
往診の医師の白衣や二月尽/加藤澄子
一樹なき萱山燦と二月果つ/村上光子
竹の節二月の寺はただ寒き/大井雅人
鳥わたり鵯なき二月日和かな/原石鼎
種芋を栽ゑて二月の月細し/正岡子規
洛陽に春立つ二月三日かな/正岡子規
風二月干せる産衣の乳匂ひ/竹内隆三
韮粥に腹を治める二月かな/野村喜舟
二月うらゝ傷兵鴎より白し/渡邊水巴
庭の面皆枯芝の二月かな/室積波那女