俳句例:101句目~
十月をささなき早し檜原村/軽部烏頭子
泣く真似をして十月の草明り/長谷川双
湯にひたる顔の寒さも十月ぞ/太田鴻村
物の音散りあつまりて十月へ/黒川路子
眼鏡はづして病む十月の風の中/森澄雄
十月の紺たつぷりと画布の上/福永耕二
十月の二日も我もなかりけり/上島鬼貫
十月の浪はくだけず夜光虫/軽部烏頭子
鐵工と十月の風胸にうたせ/石橋辰之助
鮮烈に十月を裂く鮫であり/岸本マチ子
十月と思ひこみゐて不義理せし/星野立子
渓うごく十月既望照り出でて/篠田悌二郎
十月のあとは水母を飼いならす/久保純夫
十月や燃えのぼりたる蔦うるし/和田祥子
十月の萌葱のべたりうまごやし/木津柳芽
十月のきふさだまりぬ旅すがた/加舎白雄
十月の大いたどりや死ぬべかり/中村苑子
十月や二夜の琴を聞くことも/葛田きみ女
十月の明るさ朝の味噌の香も/町田しげき
十月や手もすきとほる神の水/黒田櫻の園
俳句例:121句目~
十月をゆめかとばかりさくら花/服部嵐雪
十月を撃つすがたまで威しかな/安東次男
陽の匂ひして十月のほとけたち/児玉輝代
十月や喜寿の朝の日全身に/阿部みどり女
十月やうろくづあそぶみをつくし/細川加賀
十月にふるはしぐれと名をかへて/立花北枝
時雨るるや家風呂に入るも十月振/臼田亞浪
十月といふ朴の葉のよごれかな/田口土之子
十月やこめかみさやに秋刀魚食ふ/石田波郷
十月のプラネタリウム透きとほる/辻美奈子
十月朔こよひ月かげひくかりき/日夏耿之介
十月の蚊帳しと~と覚めゐたり/米沢吾亦紅
十月の日と風が歌碑を親しくす/柴田白葉女
十月の落葉は青くあたらしく/阿部みどり女
鷹がとぶ十月雪ふり種子降るように/寺田京子